2015年05月30日

第42回ボートレースオールスター 準優勝戦 その3 機は熟した!

次々と散っていく1号艇。まるでそこは大村ではないかのような光景だった。そんな中、ラストで登場するのはシリーズリーダー山崎智也。第二期黄金期に突入した艇界を代表するレーサー。普通ならば山崎智也がイン逃げを決めるはず。だが、ここで誰もが懸念するのは前レースで起きてしまったフライング。しかも、1号艇ということもあり各所への影響は多大である。

我々、舟券購入者が第一に考えるのが各艇のSTへの影響。SGにおける準優勝戦で2レース連続でフライングが起きるなんて前代未聞。そんな、プレッシャーが各レーサーにどんな影響を与えるのか。コンマ1秒狂うだけで天国と地獄が別れるボートレースの世界。小さい、小さい影響が勝負を決めるのだ。しかもである。山崎智也はお世辞にもSTが得意とは見受けられない。果たしてこのレース、どうなるのか。3連続1号艇勝利ならず、という予感も感じさせるラスト準優が幕を開けた。

進入は争いなく123/456。早々に6号艇濱野谷憲吾が大外宣言をしていたこともあり、大時計は枠なりに進む。そして、緊迫感が弾けだすスリット。2号艇今村豊が自信のコンマ15全速STを決めて飛び出す。内の山崎智也はというと僅かに、僅かにST劣勢に陥った。グイグイと内2艇が無音の競り合い。今村豊はプレッシャーをかけ、それに山崎智也は精神が揺るがぬよう集中力を高める。

1周1M。十分にかけたプレッシャーを、フッと解くように今村豊が差し旋回体勢に入る。今村豊はここを勝てば優勝戦1号艇が巡ってくる。一つのミス。山崎智也の一つのミスを見逃さぬよう、山崎智也の動きに注視する。だがしかし、山崎智也は完璧だった。白いボートはターンマークをキッチリと捉えて美しく先マイ。誰にもその時空は陥れることができなかった。早々と山崎智也が優勝戦1号艇を手にしたのだった。

1つの席は埋まってしまった。ということは、ラストの椅子に他のレーサーが殺到する。1周2M。今村豊が危険を察する。1周1M、しっかりとベストは尽くした3号艇石野貴之が、向こう正面で今村豊と並走すると、1周2Mでは持ち前のスピードターンが良い角度で今村豊に襲いかかっていた。このままでは。そんな思いがあったのか、比較的クリーンなレースをする今村豊が、らしからぬ様相で石野貴之にボートをガツンとぶつけにいった。これがSGの優出権を争う最高峰の戦い。どんなにその舞台を経験しようとも、枯渇せぬ欲望なのだ。

そんな激しいアタックを受けた石野貴之は大きくバランスを崩し後退。一気に優出争いのメンバーから消えていった。消えては現れる欲望者たち。次に今村豊へ襲いかかっていくのは愛知の大エース池田浩二と地元大村ラストの望み石橋道友だった。

2艇のボートが今村豊の懐を捕らえると今村豊は一番大外。決して優勢とは言えぬ位置に追いやられた。2周1M。一か八か、出たとこ勝負の賭けに出たのは石橋道友。最内から苦しい体勢ではあったが先マイを仕掛ける。前を行く山崎智也が創る航跡の内側をなぞるような奇跡のターンを狙う。だがしかし、石橋道友のボートは航跡を避ける事はできなかった。スピード奪われ失速。冷静にその様子を見ていた池田浩二の差しが石橋道友の執念を切り裂いた。

最内を差したはずの池田浩二。だがしかし、更にその内をえぐってきたのは大外に追いやられていたはずの今村豊だった。向こう正面。今村豊の方が舟足良く見え、ジワリジワリと池田浩二に追い付くと、遂にはボートを合わせて完全に池田浩二を捕らえる。デッド・ヒート。超一流のデッド・ヒートに固唾をのむ。

2周2M。切り裂かれたはずの執念は生きていた。前を行く池田浩二、今村豊の両者を何としてでも捕らえようと捨て身の切り返し。これを二人がどう捌くのか。まだ優出争いは終わらない。石橋道友を包んで交わす今村豊、待ってから差しを切り込む池田浩二。またしても優劣入れ替わろうとしていた。スピードが生きていたのは池田浩二のターン。今村豊の方が僅かに航跡に足を取られていたように見えた。

ホームストレート。今村豊が外、池田浩二が内に進路を取り、伸び比べ勝負に持ち込んでいった。ガツン!ここで今村豊が積極的に池田浩二へぶつかりにいった。艇を合わせるというよりも、強引に、力づくで制しにいったというような感じだった。浮き上がるほどダメージを受けた池田浩二のボートは失速。今村豊の策は成功したかに思えた。

だが、最終1M。池田浩二を制しに行く反動が、今村豊の操舵力を狂わせる。いつもよりもかなり早くターンマークに寄り過ぎると、旋回をするには窮屈な体勢となってしまったのだ。その瞬間、体勢を崩されながらも、本能がベストを導いた。池田浩二が綺麗とは言えないが、必要最低限なスピードターンで今村豊を抜き去った。向こう正面から最終2M。もう池田浩二の2着を揺るがすことはできなかった。こうして、最後の椅子はシリーズリーダー山崎智也と、SGV9池田浩二が手にした
 
 

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2011年秋からボートレースにハマってます。新参者です。ボートとラジオと海外ドラマによって体が構成されています。自分の目から見えるボートの世界を呟きます。
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